校長だより 皐月 2016年

 
冬に入る前に、夜は既に少し冷え込むようになって来ました。 補習校生徒の皆さんは、新学期にきれいな校舎に引っ越してからも、涼しい気候の中、益々元気に、励んでいます。 
 
14日には、新校舎で初めての避難訓練が行われました。 避難時の約束は「お・は・な・し」 「押さない、走らない、何も持たない、喋らない」 の四つです。 今回は、中央の階段一つを使って、ランチエリアに集合という過程でしたので、百人以上が一度に一つの階段に集まり、しばし待っている状況となりました。
 
それでも、クラスごとに整然と歩き、誰も押さず、走らず、とどまらず、話し声も殆ど聞こえず、素晴らしい態度で避難ができました。 集合場所のランチエリアでは、先生方の動きも早く、到着順に迅速に整列をさせ、人数確認、報告と、予定通りの流れで進みました。
 
集合時の話も静かに聞けて、避難する時に、何が大切か、どう気をつけるかもよく理解できました。 1年生達は、みなハンカチを持って、口を抑えながら移動していた姿がとても健気で可愛らしかったです。 過去には、高学年になると中には、訓練なので真剣味を帯びてない態度も見られがちでしたが、今回は自分勝手な行動を取る生徒は一人としていず、さすが補習校生です、と誇らしく思いました。
 
 
 
 
 
ケアンズは、比較的災害の少ない、平和な街です。 このシーズンは、サイクロンが一度も起きませんでした。 人間の身勝手な生活の結果が招いた地球の気候の変化だとすると、熱帯雨林地方の雨量の少なさは自然破壊につながり、深刻な問題ですが、サイクロンの被害がなければ、それはそれでまた、洪水もなく、野菜不足も停電の恐れもなく、平和な日々に越したことはありません。
 
補習校生徒の皆さんは、母国日本を離れ、ダブルの勉学に励んでいます。 ご家族の皆さんも国際的に活躍されている方たちです。 気軽に世界中を行き来できるようになるほど地球は狭くなったのに、未だにテロの恐怖、一触即発の緊張状態の続く地域があり、人間が住む限り、いざこざが絶えることはありません。 悲しいことです。
 
人や国、それぞれの考え方や文化を尊重するマルチカルチャーの国であるオーストラリアに住んでいる皆さんは、自己主張するばかりでなく、例え相手の文化が自分に合わなくとも、理解する努力をして、お互いに認め合えるよう、歩み寄る姿勢も学んでいっている毎日、と期待しています。
 
何でもかんでも認めて受け入れるという意味ではありません。 必ずしも自分の全てを抑えるという意味でもありません。 まだ子どもである皆さんは、まず小さいことから始めてみましょう。
 
意見の合わない人がいたら、お互いに主張しあって諍いをするのでなく、まずよく聞くことです。 聞く姿勢はとても大事です。 その時は自分の考えがとても重要で、相手の反論に腹が立って、すぐ解決したいかもしれませんが、大概のことは、少し時間を置いても、何とかなるものです。 
 
今は、意見が合わなくて、気分悪いけれど、もう少し考えてみるから、また後で、と、意見の合わない人から、しばらく離れるくらいの余裕を持つ訓練をしてみましょう。 きっと翌日になったら、なぜそんなに腹が立ったのかなあ?と思うことがほとんどですよ。
 
悩む物事にもよりますが、大概のことは時間が解決してくれる場合が多いのです。 また、時間が経つと、うまい具合に、解決のチャンスが訪れたりもするものです。
 
相手が意地悪で、わざと反対しているとすると、歩み寄りも難しいですが、相手側の考えがあって主張していることだとすれば、よく聞いて考える時間を置くと、解決に結びつくことが多いです。 もし、わざとしている意地悪であったら、それは相手もわかってやっていることでしょうから、自然に相手に悪い状況になって、相手側から止めざるを得なくなります。
 
あなたが正しいと思うのなら、素直な気持ちで堂々としていれば良いのです。 正しいことをしていれば、誠実に過ごしていれば、その味方も多いはずです。 
 
但し、物事には多面性があり、ある角度から見れば正しくても、別の角度から見れば反対意見もある、と、大人になるにつれ、単純に割り切れないことも多くなってきます。
 
それでも、やはり、誠実で素直な態度は、物事の根本で、正しい姿勢と、私は信じます。 ケアンズの平和な生活を、感謝して、素直で大らかな、国際人になるべく、これからもずっと、勉強にスポーツに、励んでいって下さい。